Månadsvis arkiv: juni 2018

 ドアを背中で閉めて大きく息を吐き

ドアを背中で閉めて大きく息を吐き出す。──彼のために何かをすることができない自分が、情けなかった。「ユリアス・アクスレイド、涙の跡ぐらいどうにかしろ」斜め上HKUE 傳銷らふってきたのは、サキカのそれより深く渋い声。サキカといる時だけは愛称で呼んでくれるその声の主を見た。「──…………え?」思わず間抜けな声を漏らし、口をぽっかりと開けてしまう。紅い髪に紅い瞳の、サキカの親友だというその男は、──ギルド“月の光”の隊員服を身に纏っていたのである。小さなギルドの隊員服ならば、ユリアスは知らなかっただろう。しかし、世界一のギルドとされている“月の光”のギルド服は、ユリアスでも知っていた。……その袖につけられた袖章の意味も。(一番隊隊長っ……!?)目を見開いて驚いて、しかし数秒後には納得した。この男なら有り得なくない。「さっさと行け。俺はあのお方と違ってお前に甘くはない。行かないならばこの場に放置しておく」(あのお方……?)それが一体誰を指しているのかわからない。しかし、さっさとこの場から消えた方がいいだろう。「い、行きますからっ」それだけを言い残し、ユリアスは早足でリリスの部屋へと向かった。 リリスの部屋がこの階にあることは、彼女自身の口から聞いて知っている。.

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 風属性や水属性の魔法で倒そうとす

風属性や水属性の魔法で倒そうとすればどうなるのか。想像するのは簡単だ。風属性魔法を放てば、キングワームの吐く毒の息が辺り一帯に蔓延する。魔法が命中すれば、体液が飛び散り、周治療 脫髮に人がいれば身体が溶かされてしまうだろう。水属性魔法も同じような理由だ。あの体液が溶け込んだ水が人にでもかかれば、全身が溶ける。それならば、その被害を被らない距離から魔法を飛ばせば良いと思うかもしれないが、術者が魔法として飛ばした魔力をコントロールできる範囲──所謂射程距離とか間合いとかと呼ばれる範囲内──に踏みいろうとすると、その前に奴は毒の息を吐く。そしてそれを多量に吸い込めば、死にはしないが全身に激痛が走り、意識が飛んだりするわけだ。ならば火属性や雷属性はどうかというと、これらはもっとまずい。加熱をするとキングワームの体液はすぐに気化する。そして、奴の吐く毒の息以上に危険な気体となって、吸い込めば一瞬であの世行きだ。それを知らずに火属性魔法でも使う者がいたらどうしていたのかと学園長──ラウに問い詰めたくなったが、試練ならばどこかで監視しているだろう。危ない行動を起こそうとすれば、ペンダントの魔法が発動するに違いない。光属性と闇属性と土属性は、場合によってはキングワームの体液を飛び散らせてしまう。闇属性の本質たる消滅の魔法を使えば問題ないが、そこまで強い魔法が使える者はここにはいないだろう。「ってことは、補助系の束縛魔法を使うか、強い闇属性魔法で消滅させるか、土属性魔法で埋めるか、……ぐらいしか方法はないのか」先輩は思い切り顔をしかめた。.

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 「おはよう、ユリ」笑

「おはよう、ユリ」笑顔を返せば、ユリアスも微笑んだ。──火をおこし、簡単なスープを作り、パンと共に食す。これでパンは食べきることになる。もし昼食をとるなHKUE 傳銷ば、魔物の肉か魚が中心になるだろう。さっさと食べ終え、手早く片付けて、サキカとユリアスは歩き出した。三日目の今日でゴールにたどり着くはずだ。先頭付近にいるサキカたちは、比較的早くたどり着けるはずである。今からは速さを競う戦いになる。しばらく歩いてから、サキカはユリアスを背負った。そして昨日のように木から木へと飛び渡り、森を駆けていく。途中見かけた生徒は、走る速さに慣れ始めたユリアスが魔武器の双銃で撃ち、倒していく。一度、撃たれたら一撃で急死ぬだろう急所にユリアスが当ててしまったのが見えたが、どうやら当たる寸前でペンダントの結界が発動したらしい。胸を撫で下ろして先を急ぐ。途中、リリスの魔力を見つけたためそちらへ向かうと、彼女は何と半獣化をしていた。完全に猫のそれになった足をブーツと靴下を脱いでさらけ出し、マントも着ていない彼女は、四足歩行で走っていたのだ。予選が始まる前までは、彼女は部分獣化もできなかったはずである。「リリス!」「リリスちゃん!」木の上から声をかけると、彼女はこちらに気がついていたらしく前を向いたまま「どうかしたのかい?」と訊ねてきた。「半獣化おめでとう!」「ん」こちらをちらりと見て、リリスは笑った。 その口から鋭い犬歯が覗いている。翡翠の瞳の瞳孔が猫のように細長くなっているのが見えた。.

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