Jennifer's Blog

会議は、もう戦は終ったのだから軍を解散したい

会議は、もう戦は終ったのだから軍を解散したい、それから兵士達に褒美を渡さなければならないが、どんな褒美をどれだけ渡せば良いのか、というエレナの諮問から始まった。ところが、はてさてと首を捻るドルバス達を差し置いて、意外や、今まで口出しの一つした事の無いイザベラが真っ向から反対したのである。「まだ太子達の動向が定かでない今、軍を解散するのは危いよ」とイザベラは言うのである。又、「太子達の動向を見定めてから軍をどうするか決めて遅くはないじゃない」ともイザベラは言った。いつもは軍医として、” 教師たちを探す必要がある 教師たちを探す必要がある。 如何治療痘痘 “─── 相撲 の 稽古 後 の こ と だ っ た。 ” 後ろに控えている形のイザベラであったが、今回は何故か皆の前であるにも拘わらず、エレナとの親密な関係を隠そうともせず、かなり直截な物言いで軍を解散する事に反対したのである。席上、エレナとイザベラの言い争いになりかけた所で、ハンベエが割って入った。「この件については、参謀であり、軍の編成に深く関わったモルフィネスを抜きにしては決めるわけにも行かないだろう。」とハンベエは些か間延びした口調で言った。 そうしてその後に、「ところで、俺は二、三日姿を消す。」と言い出したのである。それまで、イザベラとエレナの話に口出しも出来ずオロオロしていた皆はハンベエの『姿を消す』という一言に二人の話などそっちのけで驚いてしまった。ただ一人ハンベエの胸の内を知るロキを除いて。「ちょっと我がお師匠様を訪ねて来るだけの事だ。」とハンベエは軽く言った。ハンベエが言い出したら、誰も止めようの無い事は皆の知るところなので、誰も反対しなかったが、イザベラとエレナの意見の対立はすっかり隅に追いやられてしまい、日を改めて議論される事となった。「両三日の内には戻る。」とハンベエは言った。こうして、この日の『御前会議』は終了した。ロキはイザベラとエレナの言い争いにも加わらず、ハンベエの言葉にも驚かず、一人楽しげにがっついていた。会議も終わり、皆が持ち場に戻るべく去った後の事である。イザベラとエレナは二人だけで何やら言い争っていた。「アタシが誰の依頼であんたの命を狙ったかは教えただ う。」「でも、だからと言って・・・・・・。」イザベラが言い、エレナが返した。そこへ、何を言い争ってんだよお、という風にロキが顔を出したので二人は急に黙った。ロキは首を傾げていたが年上の女人の言い争いに首を突っ込むのはマズイと考えたのか、その場から消えた。一方、ハンベエである。『御前会議』を終えて、最後の方に会議場を出た後、ゆらゆらと王宮を去ろうと歩いたが、直ぐに追い掛けて来た者がいた。エレナであった。「ハンベエさん、ちゃんと帰って来てくれますよね。」少し不安げな表情である。「ああ、勿論帰って来る。元々この戦争をおっ始めたのはこの俺だから、王女をこのままにして居なくなる事はないよ。」「安心しました。」そう言うエレナに背を向け、ハンベエはゆらりゆらりと歩いて行く。少し歩くと、今度は柱の陰からイザベラが現れた。「ハンベエ、アンタこのまま消えちまうなんて事ないよね。」「当たり前だろう。」「エレナの身が落ち着くまでちゃんと面倒見なきゃ駄目だよ。それにアタシとの約束も忘れんじゃないよ。」「分かってるさ。しかし、どうにも太子やラシャレーの出方が分からん。・・・・・・イザベラ・・・・・・」「・・・・・・。」「・・・・・・。」「まさかアンタ、又アタシをこき使うつもりかい? アンタはお師匠様とやらをのほほんと訪ねて、このアタシには敵情探索かい。」イザベラの柳眉が逆立っていた。「・・・・・・しかし、そんな事が頼める人間は他にいないしな。」「・・・・・・全く酷い男だね。いいよ、どうせとこトン付き合わなきゃなんないんだ。アタシがひとっり、太子の軍を探って来るよ。」「済まない。」 イザベラと別れ、ハンベエは再びゆらりゆらりと歩き出した。「ハンベエ。」何処をどう通って来たのか、ロキが先回りしていてハンベエの前に顔を出した。「まあ有り得ないと思うけどお。オイラを置いてこのまま、どっか行っちゃうなんてないよねえ。」「馬鹿な事を。ロキを置いて居なくなるわけねえだろうが。」「だよねえ。オイラ、ハンベエの相棒だもんねえ。エッヘヘヘ。」ロキに釣られてハンベエも少し笑った。ちょっと苦そうな笑みである。

襲い掛かった二人の剣は一つは地面に叩き落とされ

襲い掛かった二人の剣は一つは地面に叩き落とされ、一つは宙に弾き飛ばされていたのである。「私をそこいらのお姫様と甘く見て油断しない方がいいですわよ。」涼やかな目で笑ってエレナは挑発的に言った。「ちっ、大人しく殺されてりゃあいいものを、手間を掛けさせるぜ。」ルキドは憎々しげにエレナを睨みつけると、漸く剣を抜いた。エレナはそのルキドの動きに合わせるようにヒタと己のツルギの切っ先を相手の胸元を狙って構える。「あなたは有ろう事か女の人の顔の皮を剥ぐそうですね。何と酷い事を。容赦はしませんよ。」エレナはルキドの目を捉えたまま言った。普段の穏やかな風情とは打って変わった厳しい顔である。ルキドは、斜め下段に構えて対峙した。しばし二人は無言で見詰め合っていた。スーッとルキドは右肩上がりに剣を構え直したが、エレナの剣尖は微動だにしない。international school grade system は苛々とした目付きでエレナを睨み据える(この構え、ホウゾインとやり合ったのを思い出させやがる。)そうルキドは感じた。両者はどちらからも打って掛かろうとせず、睨み合いが続く。その間に、最初の二人は打ち払われた剣を拾ってエレナ目掛けて構え直していた。その様子にエレナは気付いていたが、、動じる事なくルキドに剣尖を向けたまま静かに立っている。エレナとルキドの睨み合いは更に続いた。エレナの剣をハンベエは『護身の剣』と呼んだが、自分から斬って出る様子はない。ルキドはルキドで用心深く中々手を出さないでいた。「へっ、確かに腕が立つようだな。しかし、勝負有りだ。供に強いのを連れていなかったのが運の尽きだ。」ルキドはそう言うと、顎を横にしゃくった。ハッとしてエレナがその方向に目を向けると、ルキドの仲間の一人が半身を起こしただけで立ち上がれないでいたソルティアの髪を掴み首筋に刃を突き付けているのが見えた。「ソルティアっ。」エレナは焦った。ルキドに神経を集中していた為、ソルティアが敵に捕われるの気付かなかったのだ。「供を助けたかったら、剣を捨てな。」ルキドは冷やかな笑いを浮かべてエレナに言った。「卑怯な。」エレナは唇を噛んだ。「姫、私の事等構わないで下さい。剣を捨てるなど以っての外。早くお逃げ下さい。」ソルティアは血の気の失せた顔でぶるぶると震えながらも、しかし辛うじて言った。「おーお、泣かせるねえ。忠義な供じゃねえか。じゃあ、まず鼻でも削いでやれや。」残虐な笑いを浮かべてルキドは仲間に命じた。「待って。」エレナは慌てて言った。もう先程までの強気な顔は無くなり、蒼白になっていた。剣を捨てたらどうなるか、お姫様育ちのエレナとて解らないはずは無かった。だが、そうだからと言ってソルティアの鼻が目の前で削がれるのを黙って見殺しには出来るものではなかった。目を閉じた。そうして、再びかっと見開くと、剣を横に投げ捨てた。「剣は捨てましたよ。早くソルティアを放させなさい。狙いは私の命でしょう。」キッとルキドを睨み据えてエレナは言った。「へっ、随分お優しい姫様だ。生憎だが、俺はそんな聖女ぶった女が大嫌いでね。供の方もそこそこいい女、二人とも皆でたっぷり慰み物にさせてもらってから死んでもらうぜ。」蛇のような目を向けてルキドがせせら笑う。「何処まで卑劣な。」血を吐くようにエレナは肩を震わせた。それを見て、勝ち誇った表情のルキドだったが、どうした事か次の瞬間にはその顔が凍り付いた。突然背筋を冷たいものが走り、背後からこの世のものとも思えぬ恐ろしい物が物凄い速度で迫って来るを感じたのだ。反射的に身を翻して剣を構え直した時には、それはもう目の前にいた。大上段に『ヨシミツ』を振りかぶったハンベエであった。暴風であった。いいや、イカヅチかも知れない。防ぐどころではなかった、一太刀の下にルキドは斬り倒されていた。一言も発する事なく、驚愕に目を見開いたまま叩きつけられるように地面に倒れる。

ステルポイジャン軍は火矢を手にする

ステルポイジャン軍は火矢を手にする弓部隊の前方を歩兵部隊で守るようにしてアカサカ陣地に進んで来た。これに対し、タゴロローム軍は微動だにせず敵の様子を窺っている。静か過ぎるほどである。
やがて、タゴロローム軍の弓の射程にステルポイジャン軍の先頭部隊が達するか達しないかという時に、アカサカ陣地側から突然怒号とも言うべき鯨波の声が起こり、ハンベエ、ドルバスを先頭にタゴロローム軍兵士が一斉に撃って出た。ステルポイジャン軍は敵の撃って出て来るのをテグスネ引いて待っていた。・・・はずなのだが、いつ来るかいつ来るかと思いながら進む内にあまりに静まり返った敵陣の様子から妙な気分になってしまった。このまま敵は守りを固めて出て来ないのではないかと疑う心を生じたのだ。. タゴロローム軍が堰(せき)借卵 を切った洪水のように陣地を飛び出して来たのはその刹那であった。突撃号令はハンベエのものであった。この獣じみた五感を持つ若者は進んで来る敵軍兵士の心の襞(ひだ)が見えるかのようであった 突撃して行ったタゴロローム軍兵士は手に油を滲ませた短めの松明を持っていた。そして、おめき声を上げて投擲しながら、ステルポイジャン軍の前線に突入して行った。一瞬の虚を突かれる形になったステルポイジャン軍の前衛は呆気なく崩れた。ハンベエとドルバスの破壊力は凄まじく紙障子を裂くように敵の前衛を切り裂いていた。そして、突撃するハンベエ、ドルバスそして槍部隊に続いたのはモルフィネス率いる弓部隊であった。これまでずっと陣地両翼の山から射撃を行っていた彼等は平野に下りて槍部隊のすぐ後ろに陣取っていたのだ。モルフィネスも騎乗して指揮を取っていた。タゴロロームの弓部隊も火矢を用意していた。そして、槍部隊の後方を駆けながら、ステルポイジャン軍の歩兵の後ろに陣取る敵の弓部隊目掛けて遠矢で火矢を放った。慌てたのはステルポイジャン軍の弓部隊である。彼等はアカサカ陣地を火矢で攻撃する為に油壺を持っている。植物から取った油なのでガソリンほどの発火性はないが、それでも下手をしたら火達磨になりかねない。どちらも火矢を抱えていたが、先んずれば人を制す。敵の動きを窺う事なく電光石火で火矢を放ったタゴロローム側の弓部隊に有利に事が運んだ。火矢の到来にステルポイジャン側の火矢部隊は混乱し、油壺を投げ出して逃げ惑った。.続けええっ。」一声大きく叫ぶと、ハンベエは槍を掲げて更に敵陣に突入して行った。右に一振り、槍の穂先に敵歩兵は顔を、首を、胸を纏めて何体も切り裂かれ、山下ろしに蹴散らされる枯れ葉のように散った。 左に一振り、血飛沫(ちしぶき)が舞い、遮る兵士がデクのように倒れて行く。ハンベエは突き薙ぎ突き薙ぎ払い倒しながら、馬を推し進めた。タゴロローム軍はハンベエ達を先頭に鏃のようにステルポイジャンの縦深陣を切り裂いて突き進んで行く。鏃のもう一方の先を担うドルバスの闘い方はハンベエに比べてもっと単純であったが、威力の点では尚勝っていた。柄まで鉄製の大薙刀を斜め十文字に打ち振るうドルバスの刃は無限回転を繰り返して、右に左に敵兵士を伐り倒して行く。その刃風たるや凄まじいもので、空を切る音にさえ敵の腰が引け尻餅をつかせるほどであった。勇将の下一人の弱卒無し。ハンベエの、ドルバスの闘気が憑ったかのように後に続く兵士は命知らずに前に前に突き進んで行った。

王宮で見たモスカの印象は極めて傲慢で自己愛の強い性格に見えた

王宮で見たモスカの印象は極めて傲慢で自己愛の強い性格に見えた。このような婦人は自分の身内、特に自分の子供に対してはその行動を支配しようとする性向が強い。自己愛の延長線上の存在として独自の行動を許さない例が多いのである。ステルポイジャンと対立状態にある今、太后モスカとしては、是が非でもフィルハンドラを自分の側に置いておきたいはずである。南方で司令官として箔を付けさせていた間はともかく、今は国王である。戦場に赴かせない理由は幾らでも付く。(国王親征だと。ステルポイジャンが強制したか? しかし、あのモスカが良く許したものだ。).ハンベエはフィルハンドラはゲッソリナから動かないであろうと考えていた。というより、フィルハンドラの母であるモスカがそれを許すまいと思っていた。意外な情報と言ったが、ハンベエにとって意外であっただけである。おかしくはないどころか、気鋭の人間なら自ら先頭に立つであろう。” 您是否有時會覺得自己的臉似乎在深夜後失去了反彈的能力-或者前 季節の変化は私たちの体に大きな影響を与えます 我們將討論一些簡單但有效的技巧 韓國的水族果皮是一種趨勢療法,有望產生露水般的光澤或“玻璃皮”” ハンベエはフィルハンドラという若い国王を良く知らない。行き違いで王宮で顔を合わせる事も無かった。モスカの一部分くらいにしか認識していなかったのである。つまり、所詮はモスカの操り人形に過ぎないと決め込んでいた。それ故、今回のフィルハンドラ自身の出陣には大いに腑に落ちないものを感じたのであった。(ステルポイジャンの奴、どうモスカを説得したのか?)ハンベエは腕組みをして目をつむった。だが、どうしてもステルポイジャンとモスカの打ち解けている姿なぞ思いも浮かばない。長々しい息を搾るように吐いた後、ハンベエは腕を組んだまま物見台の周りをグルグルと歩き始めた。地面に目を向けたままで、歩き続ける姿は何か落とし物でも探しているかのようである。無論、思案に詰まった余り、無意識にかかる奇行を取ってしまっているのだ。即断即決、己の行動を脊髄反射の速さで決め得るハンベエにしては、いとも珍しい姿であった。やがて、物見台を何周回ったか分からなくなった頃、ハンベエは立ち止まりイシキンにモルフィネスを呼んで来るように命じた。ハンベエの呼び出しにモルフィネスがやって来た。戦場と云うのに髪は艶やかに靡き、衣服に少しの乱れもない。けばけばしい飾りこそないが、身嗜みに手を抜いていない事は一目瞭然である。表情も自軍のあまり良くない状況を熟知していながら、落ち着き払った冷酷な仮面のままである。繰り返しになるが、筋金入りのスタイリストなのだろう。今更ながら、美貌であった。光沢豊かな陶磁器のような冷やかな美しさを感じさせる容姿をこの参謀は持っていた。「何か有ったか?」モルフィネスは無表情に尋ねた。「敵軍にフィルハンドラ自身が居るらしい。」「その事か。私の情報網にも、その件は報告が上がって来ている。」フィルハンドラってのはどんな奴だ?」「確かまだ十六歳のヒヨっ子のはずだ。王位に就いてからは女漁りに明け暮れていたというあまり良くない評判だ。まっ、あのモスカ夫人の子だ。さもあろう。」今回のフィルハンドラの出陣だが、誰の指図だと思う。」「モスカ夫人の差し金だろう。幾らステルポイジャンとは云え、国王にそんな事を強制出来るとは思えんし、モスカ夫人の諒解が無ければ、フィルハンドラ王子が出陣して来るとも思えん。」「モスカが我が子にそんな事を命じるようなタマか?」 ハンベエに反問されて、モルフィネスは黙り込んだ。顎に手をやり、少し考え込んでいる。なるほど、モスカ夫人の今の立場からすれば、国王であるフィルハンドラ王子はむしろ、側に置いておきたいだろうな。何しろ、権力の源泉だからな。」 しばしの思案の後、モルフィネスは答えた。「そこでだ。フィルハンドラってのは、自分の判断でそういう事の決められるタイプの人間か? 母親の意思に逆らってまで、そういう行動の取れる器なのか。

ビャッコについて、少し筆をさく事にする

ビャッコについて、少し筆をさく事にする。ビャッコは28歳、四天王の中では一番の若輩であった。
腕は立つが、勇ましい空威張りをするので、他の四天王、セイリュウやスザクとは余り仲が良くない。と言っても、同一の軍に所属しているので、斬り合いをするほど対立しているわけでもない。(常識的な解りきった事をさも真面目ぶった顔付きで言うセイリュウ、訳知り顔で変に余裕振るスザク、どっちも虫がすかねえ。)と、何と無くビャッコは感じているようである。 わりかし反りの合ったのが、最年長のゲンブであった。ゲンブも真面目な物言いをする男であったが、借卵 それには反感を感じなかったようだ。人の好き嫌いは微妙なものだ。ゲンブがやられたのを知ったのは、ゲッソリナ発のステルポイジャン軍に合流した直後であった。ハンベエに斬られたのかと思うと、斬ったのはドルバスと云う名も知らぬ男らしい。戦場稼業のナライとして、昨日まで勇名を馳せていた武人が名も無き雑兵に討たれる事は珍しくはないとは云え、少しばかりビャッコは動揺した。俺も死ぬのかな、とビャッコは死を意識した。ハンベエって奴は桁外れに強い、反則じゃねえかと思うほどに強い。正直、簡単に倒せる相手じゃなさそうだと良く分かった。しかしながら、テッフネールが敗れ、ゲンブが倒れた今、ハンベエを斬れる者がいるとすれば、(俺しかいないっしょ。)とビャッコは思わずにいられない。自惚れなのか自負の強さなのか、勇ましいのは口ばかりでは無いようだ。ビャッコはハンベエを倒すつもりになっていた。だが、ハンベエの強さを知った今では、自分が逆に斬り捨てられる姿が容易に想像されていい気分ではなかった。ひたすら、剣技に磨きをかけるのみであった。.『命を狙われるのは俺の得意技』と嘯くハンベエであるが、狙われる相手を又一人増やしてしまったようである。そのハンベエは、ステルポイジャン軍の待ち伏せをからかった後は動かず、明くる日も物見台に登ってひたすら敵陣を眺めていた。刹那の勝機を見出だして、乾坤一擲一挙に敵を葬ると見えを切ったものの、結局のところ打つ手が無いのである。無愛想な面で、しかしながら鋭い目付きで、ステルポイジャン軍のどんな動きも見逃すまいとひがな一日ハンベエは物見台に立ち尽くしていた。その日もそうして暮れた。ハンベエ独りで敵情を窺っているわけではない。ヘルデンに指揮させて、旧第5連隊兵士達にもステルポイジャン軍の動向を逐一探らせていた。かつては、タゴロローム軍の中でも劣等不良、ゴミ溜めの評判も高かった第5連隊であったが、対アルハインド戦の地獄で淘汰され、その後もハンベエに付き従って来た兵士達は、数は少ないものの、今やタゴロローム軍の中で最も頼りになる精鋭部隊に変わっていた。彼等の集めた情報に依れば、敵軍陣地にはゲッソリナから投石機や弩等の遠距離兵器が次々と運び込まれているらしい ハンベエは首を捻っていた。(厭にのんびりした動きだ。東のボルマンスクへの備えや、太后モスカの動きは気にならないのか? それとも、危機感を抱いて結束したのか。)ステルポイジャンとモスカの対立という状態はハンベエの勝算の一つに入っていた。両者の対立がある以上、ステルポイジャンは長くはゲッソリナを留守に出来ない。戦を急ぐはずだと考えているのだ。.(それにしてもボルマンスクの連中、動いているのかいないのか? 連絡取り合っているわけでは無いから期待は出来ないが、ステルポイジャンの大軍がこっちに引き付けられている今動かないようでは大した奴等じゃないな。・・・いかん、ただオノレ有るのみだった。)ハンベエの下に斥候から更に意外な情報が入ったのは、その日の夕暮れであった。国王・・・フィルハンドラが敵陣に居るだと。」 ハンベエは間抜けな顔をしてしまった。 無論、敵軍を掌握しているのが、ステルポイジャンであるとは云え、国王を称するフィルハンドラは更にその上の大将、ステルポイジャン軍の上に有ってこの戦場にやって来てもおかしくはない。

「しかし、ハンベエという男はほんに強いのお

「しかし、ハンベエという男はほんに強いのお。わらわの味方にする方法は何ぞ無いものか。」「真実王女の身の安全を保証すれば、案外味方になるかも知れませんよ。」ガストランタはハンベエの狙いが己の首とは露知らない。思わず、お気楽な返事をしてしまった。「何じゃと」何気なくガストランタの発した戯れに、モスカの目がランと光って向けられた。毒蛇の目であった。「もっとも、大将軍は兵を発してハンベエを討つ事にしたので、ハンベエを味方にする機会などは有りますまい。」モスカの恐ろしい目付きに内心ブルったのか、慌ててガストラン香港教育集團 タは話の向きを変えた。「ほう・・・・・・ステルポイジャンめ、やっとその気になりおったか。そちが指揮を取るのかそれともステルポイジャン自身が率いるのか?」「いや、残念ながら指揮官はニーバルに決まりました。」「・・・・・・。」「どうやら、私は大将軍の信頼が薄くなったようで、きっと私が大将軍より太后陛下に忠節を尽くしていると考えているのでしょうな。」「・・・・・・で、そちはわらわとステルポイジャンを天秤にかけたら、どちらを取るのじゃ。」モスカはガストランタの顎に手をやってその目を覗き込んだ。恐ろしい目付きであった。「もっ、勿論、太后陛下に忠義を尽くす事に決めております。」「マコトじゃのう。」「誓って。」「良いか、わらわを裏切ったりしてみよ。わらわがステルポイジャンなどより、ずっとずっと恐ろしい人間である事を思い知る事になるぞよ。」モスカはガストランタの頭を抱え込むようにして、その耳元に口を寄せ、毒の息吹でも吹き込むかのように囁いた。それから、半身を起こして、「ステルポイジャンなぞ、エレナやゴルゾーラを始末した後は用無しじゃ。ふん。」と嘯くように言った。宙を睨むその眼底には、狂気を帯びた憎悪が熾火(おきび)のように燃えているのが垣間見える。「少し独りになりたい。下がれ。」不意にモスカはガストランタに言った。見下ろす形になっていた。ガストランタは何も言わずに寝台を降り、静かに衣服を整えると一礼して部屋を出て行った。しばらくして、モスカは寝台を降りてガウンを羽織ると窓辺に立って外を見た。どういう加減か山影から顔を出したばかりの三日月は血のように赤い筋が入って見え、それが死に神の鎌の刃を連想させた。 遠くで狼の遠吠えでも聞こえて来そうな、何やら獣達の血を騒がせそうな、そんな月の色であった。「男など所詮は、ただの薄汚いケダモノじゃ。だとすれば、一番強いケダモノを手なずけるのが得策と言うだけの事。・・・・・・ハンベエめ、あのテッフネールを破ったとはのう、ほんに強い男よ。何とぞしてわらわの手に入らぬものか。いいや、これは妄想か、エレナに味方する男など死ねば良いのじゃ。」険しい表情で月を睨みつけながら、太后モスカは呪うかのように吐き捨てた。二日の後、イザベラからハンベエに通信が発っせられた。『緊急ゲッソリナにおいて攻撃軍編成中規模は兵士五万人指揮官はニーバル攻撃目標はハナハナ山の占領と駐屯尚、タゴロローム方面に対する迎撃の準備有り。軍の主力は剣士隊弩、投石機等の用意特に無し』明くる日の夕刻、ハンベエからの返信が返って来た。『任務終了一旦通信は停止する。当方は、遅くとも五日後にはハナハナ山近辺のアダチガハラ平野に布陣の予定。我が陣営に帰還せよ。ハンベエ』「帰還せよ。・・・・・・かい、手紙とは言え、命令口調がちょっとイラッと来るね。あたしゃハンベエの部下ってわけじゃない。帰って来いって事だから、帰るけど、そこんとこははっきりさせとく必要があるね。」イザベラはこう呟くと、鴉のクーちゃんを肩に乗せて、廃屋を後にした。ついでに、ウージの事について触れて置こう。一旦、スザク達に連行されたウージであったが、二日後に釈放されていた。


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